社会の闇を暴き出した作品として、Netflixで独占配信され世界中に衝撃を与えた社会派ドキュメンタリー『マリセラ・エスコベドの3つの死』を外すことはできない。殺害された愛娘のために正義を求め続け、最後は政府庁舎の前で凶弾に倒れた一人の母親の壮絶な戦いは、司法制度の腐敗を容赦なく暴き立てた。
この作品が示したのは、国家が守ってくれないのなら自らの手で真実を掘り起こすという、母親たちの凄まじい覚悟だ。現在も「ブスカドーラス(捜索する母たち)」と呼ばれる市民グループが、シャベルを片手に荒野を掘り起こし、行方不明者の遺骨を探し続けている。映像が持つ告発の力は、彼女たちの孤立した戦いを世界的な連帯の輪へと変える原動力となった。