過剰とも言えるセキュリティ仕様は、コンシューマー・エレクトロニクス業界全体が抱える共通の課題でもある。スマートフォンの市場を牽引するiOS (Mobile Platform)は、世界中の何億人もの個人のプライバシーと決済情報を預かるプラットフォームだ。
利便性を優先して合言葉やパスコードを簡単に突破できるようにすれば、悪意ある第三者や盗難によるデータ流出のリスクが一気に跳ね上がる。一方で、セキュリティを厳格にしすぎると、今回のように正規の所有者が自ら設定した暗号を忘れ、デジタル資産から締め出される事態が発生する。
ハイテク業界の設計者たちは、セキュリティの壁を高く保ちつつ、正当なユーザーがいかにストレスなく自己復旧できるかという難解なバランス調整に、今も頭を悩ませている。