緻密な心理描写と繊細な人間関係の機微を描かせたら右に出る者はいない河野裕が、本作のプロット監修に深く関与している点は見逃せない。『いなくなれ、群青』で見せたあの痛切な青春の喪失感とミステリーの融合は、本作においてより苛烈なサイコスリラーへと昇華されている。
純文学的な筆致で知られる原作者が、なぜここまで残酷で救いのないサスペンスミステリーへと舵を切ったのか。関係者によれば、プロットには人間の倫理観を試すような七つのトラップが仕掛けられているという。観客はただの傍観者でいることを許されず、登場人物の選択を通じて自らの内面にある暗部を直視させられる仕掛けだ。