多くの読者が長寿漫画の最終回に期待するのは、感動的な大団円や、キャラクターたちの未来を描いたエピローグだ。『スラムダンク』や『鬼滅の刃』のような、胸を熱くする幕引きを無意識に求めてしまう。しかし、『こち亀』が選んだのは徹底的な「日常の継続」だった。
最終回の最後のコマでも、両津はいつも通り部長に怒鳴られ、葛飾署を逃げ回る。この「何も変わらない日常」こそが秋本氏の美学だったが、ドラマチックな感動を期待していたライト層には「あっけなすぎる」「手抜きでひどい」と映ってしまった。40年の重みに対して、あまりにも軽妙すぎる引き際。そのギャップが、ネガティブな評価を増幅させる要因となった。