オックスフォード大学における日本美術研究は、想像を絶するいばらの道であった。世界最高峰の知性が集うキャンパスで、彬子女王殿下は「皇族」としてではなく、「一人の研究者」として厳格な審査に晒された。数千ページに及ぶ資料解読、夜を徹しての論文執筆、そして指導教授との容赦ないディスカッション。
女性皇族として初となる博士号(D.Phil.)の取得は、決して平坦な道のりではなかった。日本美術の価値を海外に正しく伝えるための情熱が、膨大な作業量を支えたという。この留学経験で培われた客観的な視点と国際的感覚こそが、現在の精力的な活動における揺るぎない背骨となっている。