集団生活において衝突やストレスが生じた際、両者がどのように対処するかという「葛藤解決のメカニズム」にも真逆のアプローチが見られます。
チンパンジーの世界では、攻撃性や群れ同士の激しい抗争が日常的に発生します。ナワバリを巡って隣接する群れと組織的な戦闘(パトロール行動)を行い、時には相手の群れの個体を計画的に急襲・殺害することすら記録されています。群れ内部の対立も、激しい威嚇や格闘を経て、下位の者が服従の姿勢を示すことでようやく収束します。
一方のボノボは、あらゆる社会的緊張を「性的スキンシップ」によって緩和します。餌の分配時や小競り合いが起きそうになった際、ボノボは性別や年齢を問わず、疑似的な性行動(メス同士の性器接触であるGGラビングや抱擁など)を行ってオキシトシンを分泌させ、敵意を友愛へと瞬時に変換します。彼らにとって性的接触は単なる生殖行為ではなく、挨拶や仲直り、不安解消のための平和的コミュニケーションツールとして機能しているのです。その結果、ボノボの群れ間では大規模な殺戮や致命的な暴力は確認されていません。