集英社が誇る伝説的な少女漫画誌『りぼん』で連載が始まった当初、作品は少女たちの甘酸っぱい日常を描く枠組みを持っていた。しかし、さくらももこが持ち込んだのは、それまでの少女漫画の常識を覆すエッセイ風味の日常描写と強烈なギャグコメディの融合だった。その到達点とも言える造形が、まさに野口さんという存在である。
従来の「可愛いヒロイン」「おしとやかな女の子」といったステレオタイプを心地よく破壊し、己の「好き」を突き詰めるシュールな少女の姿は、当時の読者層に大きな衝撃を与えた。漫画のページを開くたび、コマの隅から漂う彼女の異物感こそが、作品を単なるノスタルジーにとどめないフレッシュなスパイスとなっていたのだ。