赤坂2丁目のランドマークとして威容を誇る衆議院赤坂議員宿舎。不動産市場データによると、同エリアにおける専有面積80㎡超の分譲賃貸マンションの家賃相場は、月額50万〜80万円前後が標準的な水準です。これに対し、赤坂議員宿舎の家賃は長年にわたり10万〜12万円台に据え置かれています。直近の家賃改定の経緯をたどると、2026年4月の改定時に築年数の経過に伴う減価償却を理由として月額約1万3,000円引き下げられ、月額12万4,652円となった経緯があり、2026年現在も周辺相場とは完全に乖離した水準を維持しています。
民間市場の常識からかけ離れた価格設定が成立している最大の理由は、「国家公務員宿舎法」に準拠した独自の算定方式にあります。一般的な賃貸物件は、周辺の地価高騰や需給バランス、利回りなどを反映して家賃が設定されます。しかし、議員宿舎の算定根拠は「建設費用に対する法定耐用年数での減価償却費」と「修繕積立などの維持管理費」の積み上げ計算のみです。つまり、地価がいくら上昇しようとも、建物が古くなればなるほど計算上の価値が目減りし、家賃が下がるという逆転現象が法的に設計されています。
さらに、土地自体が国有地であるため、民間事業者のように莫大な用地取得費や固定資産税を家賃に転嫁する必要がありません。この「地価無視の原価償却モデル」こそが、赤坂の超一等地で3LDKを12万円台で借りられる格安家賃の真相です。制度上は公務員宿舎の規程を借用しているものの、民間給与の実態とかけ離れた恩恵を享受している構図に対し、納税者の不満が噴出するのは当然の帰結といえます。