型式は単なる無作為な文字列ではなく、国土交通省の厳格な規則と各自動車メーカーの設計思想が反映された論理的なコード体系で構成されています。一般的な乗用車の型式は、「ハイフン(-)」を挟んで前後に大きく分かれています。
ハイフンの前に配置される2〜3文字の英数字は、国土交通省が規定する排出ガス規制識別記号です。ここを見るだけで、その車両がいつの排ガス基準に適合し、どのようなパワートレインを積んでいるかが一目で判明します。
例えば「3BA-」という記号の場合、「3」は平成30年(または令和)の排出ガス規制適合を意味し、「B」はハイブリッド以外のガソリン乗用車(JC08モードやWLTCモードの達成率区分)、「A」は低排出ガス認定レベルを表します。これが「6AA-」になると、「6」は最新基準のクリーン化区分、「A」はハイブリッド乗用車であることを示しています。このように、ハイフンの前側は国の環境基準に対する適合証明の役割を担っています。
一方、ハイフンの後ろに続く文字列は、自動車メーカー各社が自社の設計体系に則って付与する車両記号です。ここには、プラットフォームの世代、エンジン型式、駆動方式(前輪駆動・後輪駆動・4WD)、ボディ形状などの重要情報が集約されています。
具体例としてトヨタのプリウス(4代目)の型式「6AA-ZVW51」を分解すると、以下の意味を持ちます。
- 6AA-:最新排出ガス規制に適合したハイブリッド乗用車の識別区分
- Z:搭載されているZR系エンジン(2ZR-FXE)の系統記号
- VW:プリウス系ハイブリッド専用プラットフォーム記号
- 5:第5世代の車両系譜(開発コード系統)
- 1:駆動方式(「0」が2WD、「1」が電気式4WD・E-Fourを表す)
末尾の数字が「0」か「1」かというわずか1文字の違いによって、駆動方式が全く異なり、サスペンションの構造やブレーキパッドの仕様まで変わってきます。型式の後ろ半分を正しく読解することは、車のメカニズム構造を読み解くことと同義です。