空港周辺の厳重なセキュリティゲートと防音壁の隙間を縫い、関係者以外が踏み込むことの少ない道を進んだ先に「木の根地区」はある。滑走路の増設やワンターミナル化といった機能強化プロジェクトが着々と進む2026年の成田空港において、この一角だけは周囲の巨大インフラと完全に断絶した独自の時間が流れている。
敷地の管理・運用を担う成田国際空港株式会社は、長年にわたり用地取得に向けた移転交渉や対話を模索してきた。しかし、このペンションが立つ土地は、単なる一所有者の不動産ではない。飛行機のジェットエンジン音が皮膚を揺らす日中、ペンションの庭には樹木が茂り、時には集会や文化的な交流の場として活用されるなど、近代的な航空運行のルーティンとは背中合わせのまま、異質の存在として存続している。