ファッション業界の最前線において、車椅子モデルの起用が急速に標準化しつつあります。最大の契機となったのは、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の潮流が「理念」から「具体的な表現」へとフェーズを進めたことです。欧米の主要コレクションでは、多様な身体性を持つモデルの登壇がブランドの先進性と倫理観を示す重要指標となっています。
第二の理由は、SNSを中心とした個人の発信力と共感経済の拡大です。InstagramやTikTok、YouTubeを通じて日常のリアルな工夫や車椅子ならではのスタイリングを発信するモデルたちに、国内外から数十万人規模のフォロワーが集まっています。「健気でかわいそうな障がい者」という固定観念を痛快に打ち破る堂々としたアティテュードが、熱烈なエンゲージメントを生み出しています。
第三に、アダプティブ・ファッション(着脱しやすく機能的なバリアフリー服)市場の急成長が挙げられます。機能性を保持しながらモードな美しさを兼ね備えたコレクションが一般層にも普及し、車椅子モデルはその魅力を余すところなく伝える唯一無二のアンバサダーとして不可欠な存在となっています。