殺人事件における時効を理解する上で、決して見落としてはならないのが「刑事上の公訴時効」と「民事上の損害賠償請求権の消滅時効」の決定的な違いです。
刑事上の時効が撤廃された一方で、加害者に対する民事上の金銭賠償を求める権利には、依然として時効が存在します。民法の規定(2026年改正民法)では、人の生命・身体の侵害による不法行為の損害賠償請求権は、以下のいずれか早い方で消滅します。
- 主観的起算点:被害者や遺族が「損害及び加害者を知った時」から5年間
- 客観的起算点:不法行為の時から20年間
未解決事件の犯人が20年以上経過した後に逮捕された場合、刑事裁判で有罪判決を下すことは可能ですが、民事上の賠償請求権はすでに消滅時効が成立している法的な矛盾が生じかねません。被害者遺族の完全な権利回復という観点から、民事時効のさらなる見直しや公的な遺族支援制度の拡充が強く求められています。