かつて「適量の酒は循環器疾患予防に寄与する」と語られた時代は終わった。国際的な医学論文データベース「PubMed」に収載された最新の膨大なコホート研究やメタアナリシスは、過去のデータを再検証し、従来の知見に疑義を呈している。非飲酒者グループの中に「病気が理由で禁酒している人」が含まれていたことによる統計的バイアスが排除された結果、アルコールの摂取量と死亡リスクの関係は右肩上がりの直線に近いことが判明した。
世界保健機関 (WHO) はすでに「飲酒に安全な量は存在しない」との明確な立場を表明している。どれほど少量であっても、エタノールそのものや代謝過程で生じる代謝物が組織を攻撃するリスクはゼロにならない。国内における依存症治療と研究の世界的拠点である国立病院機構久里浜医療センターの研究チームも、少量の飲酒であっても継続することで全身の細胞に負荷をかけ続けると警鐘を鳴らす。