長女が生まれた当時、異変はごく静かに現れた。乳幼児期の手足の動きに対する違和感から病院を受診した際、医師から告げられた病名は「乳幼児脳梗塞」。聞き慣れないその病名は、脳の血管が詰まることで脳組織が損傷を受け、運動機能などに障害が残る病気だ。
長女の場合、左半身に麻痺が残るという重い後遺症が確認された。当時の医療現場でも乳幼児期の脳梗塞に関する情報は決して多くなく、若き日の菊池桃子が受けた精神的ショックは想像を絶するものだった。予後がどうなるのか、将来一人で歩けるようになるのかさえ分からない不安の渦中で、彼女の苦悩の日々が始まった。