CBR400Fのアイデンティティであり、コール文化を決定づけた技術的核が、ホンダが開発した回転数感応型バルブ休止システム「REV(Revolution-modulated valve control system)」です。
この機構は、低中回転域(約8,500rpm未満)では1気筒あたり「2バルブ」で作動し、粘り強いトルクと低燃費を確保しながら、8,500rpmを超えると油圧によってロッカーアームが作動し「4バルブ」へと切り替わる仕組みです。これは後にホンダの代名詞となる「VTEC」の始祖とも呼べる画期的なシステムでした。
しかし、この工学的アプローチがストリートで意図せぬ化学反応を引き起こします。2バルブ作動時の排気流速が生み出す図太くクリアな「重低音の鳴き」と、4バルブ開放時の突き抜けるような「超高回転レーシングサウンド」という、2つの異なる音響特性を1台のエンジンが内包していたのです。
やがて愛好家の間では、ソレノイドバルブへの配線を加工して手元のスイッチで強制的にバルブ切り替えを操作する、あるいは常時2バルブ(または4バルブ)に固定する「REVカット」と呼ばれる改造手法が定着しました。意図的にバルブ開閉を制御することで、低回転コール時の排気音のキレを極限まで引き出そうとする、ストリート発の実験的モディファイでした。