一方で、印鑑を持たない口座特有の制限や突発的な手続きでの躓きには十分な注意が必要だ。最も多いトラブルが、店頭窓口での高額取引や特殊な手続きを必要とする場面である。印鑑を届出していないため、窓口で従来の「お届け印」を求められる手続きを行おうとすると、その場で対応できず断られるケースが存在する。
また、住宅ローンの契約や一部の法人・団体取引、あるいは伝統的な書面での口座振替依頼において、今なお届出印の押印を要求されるシーンは皆無ではない。後から印鑑が必要になった場合に「改印」や「印鑑届出」の手続きを行うと、追加の本人確認作業が発生し、かえって時間を要することもある。利便性の陰に隠れたこうしたギャップをあらかじめ理解しておくことが重要だ。