日本が衆議院と参議院からなる二院制を採用している最大の理由は、「権力の過度な集中と多数派の横暴を防ぎ、慎重な審議を担保すること」にあります。もし一院制であれば、一時的な世論の過熱や単一政党の勢力拡大によって、拙速な法改正や偏った政策が一気に強行される危険が生じます。
憲法制定時、参議院は政党色の薄い有識者や各界の専門家が集う「良識の府」、そして衆議院が可決した法案を冷静に検証する「再考の府」として構想されました。解散がなく任期も6年と長期であるため、目先の選挙や党利党略に過度に左右されず、長期的な国益を見据えた議論を行うことが本来の役割です。
一方で、両院の意見が対立して国政が完全に麻痺することを防ぐため、日本国憲法は明確に「衆議院の優越」を規定しています。衆議院の優越が認められている主な事項は次の4点です。
なぜ衆議院がこれほど優越するのかという根拠は、「衆議院の方がより新しい民意を反映している」という主権在民の原則に基づきます。衆議院議員は任期が短く、内閣による衆議院解散によって常に国民の信を問われるリスクを背負っています。したがって、最新の有権者の意思を体現している機関として、意思決定の最終的な優先権が与えられているのです。