日常のカジュアルな会話において「踏んだり蹴ったり」を使う際は、単に愚痴を吐き出すだけでなく、自虐的なユーモアを交えて場の空気を和らげるクッション言葉としても機能します。
【日常会話での自然な例文】
- 「寝坊して遅刻したうえに、財布を忘れて昼食も買えず、今日はまったく踏んだり蹴ったりな一日だったよ。」
- 「せっかくの旅行だったのに、台風で飛行機は欠航、予約していたホテルも手違いでキャンセル扱いになっていて踏んだり蹴ったりの目に遭った。」
一方で、グローバルビジネスや英会話の現場でも「災難が重なる」という人間共通の体験を伝える表現は豊富に存在します。直訳的に「stepping and kicking」などと言ってもネイティブには一切通じません。英語圏では、以下のような決まったイディオムがその状況を描写するために用いられます。
最も代表的な成句が「Add insult to injury」です。直訳すると「怪我(物理的被害)を負わせた上に、侮辱(精神的ダメージ)を加える」という意味になり、散々な目に遭っているところへさらに屈辱的な追い打ちが重なるシチュエーションを指します。
【英語イディオムの代表例】
- Add insult to injury:「I lost my job, and to add insult to injury, my car broke down.(仕事を失ったうえに、踏んだり蹴ったりなことに車まで故障した)」
- When it rains, it pours:直訳は「降れば土砂降り」。ことわざとして「悪いことは重なって起きる」を端的に表す最もポピュラーな表現です。
- It's just not my day:「今日は本当についていない、散々な一日だ」という心情を吐露する際にネイティブが最も頻繁に口にする口語表現です。
- From bad to worse:「悪い状態からさらに最悪へ向かう」という事態の悪化を示す表現で、「Out of the frying pan into the fire(フライパンから火の中へ=一難去ってまた一難)」と類似の構造を持ちます。
文化や言語が異なっても、「災難の連鎖」に対する人間の受け止め方には普遍的な共感が存在することがわかります。