放送当時の朝ドラカルチャーを語る上で外せないのが、SNS(旧Twitter)上で連日トレンド入りを果たした「#べっぴんさん反省会」というハッシュタグ現象です。期間平均視聴率は関東地区で20.3%、関西地区で20.2%(ビデオリサーチ調べ)と、大台の20%超えを記録したヒット作でありながら、視聴者の間では熱烈な支持と鋭いツッコミが入り乱れる二極化が生じました。
反省会タグがここまで盛り上がりを見せた背景には、脚本を手掛けた渡辺千穂氏による独特の作劇スタイルがありました。一般的な朝ドラに多い「逆境に立ち向かい声を荒らげて立ち上がる熱血型ヒロイン」とは対照的に、本作のすみれは寡黙でおっとりとした性格。セリフよりも「間(ま)」や視線の交差、静かな佇まいで感情を表現する演出が徹底されたため、朝の慌ただしい時間帯に視聴する層からは「テンポが遅い」「登場人物の本心が掴みにくい」といった声が上がったのです。
さらに、物語中盤における世代交代や、キアリス創業メンバーと子どもたちとの確執、若手社員たちとのすれ違いなど、家族経営ならではの生々しい人間ドラマがリアルに描かれたことも議論に拍車をかけました。しかし、Mr.Childrenが手掛けた主題歌「ヒカリノアトリエ」が象徴するように、雨上がりの空に架かる虹のように静かに人に寄り添う世界観は、時を経るごとに「丁寧な心理描写が心に染みる大人の朝ドラ」として再評価の声が高まっています。