日暮里の象徴的存在として誰もが名を挙げるのが、株式会社トマト(生地・服地専門店)だ。本館を中心に、アーチ館、セレクト館、インテリア館など複数の建物を展開し、街のランドマークとして君臨している。
特に本館1階の「1メートル100円コーナー」は圧巻の一言に尽きる。色鮮やかなプリントコットンや扱いやすい化繊生地が所狭しと積まれ、買い物カゴを抱えた客で常に賑わう。上層階へ上がれば、高級オートクチュール用のインポートツイードや極上シルク、機能性ニットまで、アパレル・テキスタイル産業の最前線で使用される本格素材が揃う。
なぜこれほどの低価格と豊富なバリエーションが実現できるのか。背景には、国内アパレルの余剰在庫や機屋(はたや)からの直接仕入れなど、長年の信頼関係に基づく独自の調達ルートがある。産業の余剰を価値ある資材へと転換するダイナミズムが、ここトマトには凝縮されている。