企業にとって、クラッシャー上司を放置することはもはや単なる人事課題ではなく、企業の生存を揺るがす重大な法的リスクである。現在、大企業・中小企業を問わず「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」が全面適用されており、企業にはハラスメント防止のための措置義務が明確に課せられている。
厚生労働省が定めるガイドラインでは、精神的な攻撃や人間関係からの切り離し、過大な要求などがパワーハラスメントの典型的な素地として定義されている。仮に企業がこれらの訴えを放置し、社員がうつ病などのメンタル疾患を発症したり離職・自殺に追い込まれたりした場合、安全配慮義務違反(民法415条)や使用者責任(民法715条)に基づき、数千万円規模の損害賠償請求を受ける裁判例が相次いでいる。
法的リスクを回避するために会社側がまず行うべきは、ハラスメントに対する「ゼロ・トレランス(毅然とした不容認)」の姿勢を示すことだ。通報窓口の実効性を担保し、客観的な事実調査に基づいて、該当する管理職に対して懲戒処分や降格処分を猶予なく実施する体制づくりが求められる。