1990年代の平成ゴジラシリーズにおいて、特撮映画というジャンルに圧倒的なリアリティを吹き込んだのも中尾の功績だ。1993年公開の『ゴジラvsメカゴジラ』で初登場したG対策協議会司令官・麻生孝樹役は、今なお特撮ファンの間で伝説として語り継がれている。
非現実的な巨大怪獣の脅威を前に、眉間に皺を寄せ、低く唸るような声で迎撃命令を下す軍人のリアリズム。スクリーン越しに伝わるその切迫感は、特撮というフィクションを大人も耐えうる重厚な人間ドラマへと昇華させた。怪獣映画という枠組みを軽視せず、一人の司令官としての矜持と葛藤を真摯に演じ切ったプロフェッショナリズムは、特撮史に燦然と輝く金字塔となった。