ネット上の掲示板やSNSでは、「20代・30代で入れ歯なんてあり得ない」「歯がボロボロな芸能人は全員インプラントにしているはず」といった固定観念に基づく書き込みが散見されます。しかし、審美歯科の現場取材を進めると、全く異なる現実が浮かび上がります。
第一の誤解は「入れ歯は年寄りだけのもの」という偏見です。実際には、激しいスポーツでの歯の破折、過度なストレスによる重度の歯ぎしり、幼少期の虫歯治療痕の二次感染などにより、若年層でも奥歯や前歯を失うケースは日常的に発生しています。若い世代ほど「絶対に他人にバレたくない」「健康な隣の歯を削ってブリッジにしたくない」という意識が強いため、歯を削らずに装着できるノンクラスプデンチャーを指名買いする傾向が顕著です。
第二の誤解は「インプラントこそが最高で唯一の永久治療である」という盲信です。インプラントは確かに優れた治療法ですが、天然歯以上に「インプラント周囲炎」と呼ばれる細菌感染症に弱く、毎日の徹底したブラッシングと定期的なプロケアを怠れば数年で脱落するリスクを孕んでいます。ロケや撮影で多忙を極め、歯科医院に頻繁に通えない芸能人にとって、取り外して丸洗い・消毒できる高機能な部分入れ歯は、衛生管理の面でも極めて現実的な防衛策となっています。
【プロの結論】部分入れ歯を選ぶべき人・慎重になるべき人の判断基準
口元の治療で後悔しないために、どのような基準で治療法を選択すべきか。審美歯科および臨床心理の観点から導き出した判断基準は以下の通りです。
【部分入れ歯(ノンクラスプデンチャー)が向いている人】
- 仕事や生活の都合で、外科手術に伴う腫れや長期のダウンタイムを絶対に避けたい人
- 高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などの持病があり、インプラント手術にリスクを伴う人
- 健康な両隣の歯を大きく削る「ブリッジ治療」に抵抗がある人
- 総治療費を30万円前後に抑えつつ、審美性と自然な見た目を確保したい人
【部分入れ歯を慎重に検討・インプラントを優先すべき人】
- 毎食後の取り外し洗浄やメンテナンスを手間に感じ、天然歯と同じ感覚で生活したい人
- 硬い肉やお煎餅など、極めて強い力で噛み砕く食事を日常的に最優先したい人
- 顎の骨が十分に厚く、半年の通院期間と1本40万円以上の予算を問題なく確保できる人