「たくさん便を採ったほうが、病気や菌をしっかり見つけてもらえるのではないか」と考え、スティックの先端に山盛りの便をすくい取ってしまう方が後を絶ちません。しかし、これは検査精度を著しく落とす危険な誤解です。
現在の便潜血検査で使われている「免疫法(イムノクロマト法等)」は、ヒトの血液中のヘモグロビンにのみ特異的に反応する高感度な試薬が容器内の緩衝液に含まれています。便の量が多すぎると、試薬に対して抗原(ヘモグロビン)が過剰になりすぎて反応が阻害される「プロゾーン現象(抗原過剰現象)」が発生し、大腸ポリープやがんからの出血があるにもかかわらず「陰性(異常なし)」と誤判定されてしまうリスクが生じます。
適切な採取手順と量は以下の通りです。
- 適正量:スティック先端の細い溝(ギザギザ部分)が便でうっすら埋まる程度(米粒大〜小豆大程度)。容器内の液体が濁りすぎないのが正常な状態です。
- 採取方法:便の1箇所から塊ですくい取るのではなく、便の表面をスティックの先端で「まんべんなく数カ所を軽くこすり取る」ようにします。大腸からの出血は便の表面に付着していることが多いため、表面をまんべんなく撫でるのが最も検出率を高めます。
- 容器への収納:採取後はスティックを保存液入りの容器に差し込み、「カチッ」と音がするまでしっかりフタを押し込みます。余分な便が容器のフチで自動的にそぎ落とされる構造になっているキットも多いですが、フタを閉める際に液が漏れないよう垂直に差し込んでください。