昭和のラジオ文化を語る上で欠かせないのが、ラジオ エアチェック カセットテープの存在です。新譜レコードが貴重だった時代、FM情報誌(『FMステーション』『FMファン』『週刊FM』など)を火曜日に買い込み、放送スケジュールに蛍光ペンで印をつけて録音待機する行為は、当時の若者にとって神聖な儀式でした。
DJが曲紹介を終えてイントロが流れる瞬間にラジカセの「録音+再生」ボタンを同時に押し、トークが曲に被らないか息を殺して見守る――。自作のカセットインデックスには、鈴木英人や永井博のイラストを切り抜いて貼り、オリジナルのミックステープを丹念に仕立て上げました。
コミュニティやSNS上での実態調査によると、「当時のエアチェックテープをデジタル化して聴き直すと、当時のCMや時報、DJの息遣いまで甦り、タイムスリップしたような感覚になる」という声が多数寄せられています。偶然流れてきた見知らぬ名曲との出会い(セレンディピティ)をもたらす装置として、ラジオとカセットテープは完全に一体化していました。