前回の狂乱から60年。私たちは再び同じ干支の巡り合わせを迎えようとしている。過去の歴史を知る者ならば誰もが抱く疑問がある。――果たして現代の日本でも、あの悲劇的な出生率の激減は繰り返されるのだろうか?
結論から言えば、現代の人口動態が迷信によって左右される可能性は極めて低い。国立社会保障・人口問題研究所が実施している最新の出生動向基本調査を見ても、子どもを持つ時期や人数を決定する要因として「干支や迷信」を挙げる回答者は皆無に等しい。現代の夫婦が直面しているのは、経済的負担、キャリア形成との両立、育児環境の整備といった現実的で構造的な課題である。
さらに、過去のデータを詳細に検証すると、迷信の無根拠さは明白だ。1966年生まれの女性たちを追跡調査した統計において、他年度生まれの女性と比較して離婚率が高い、配偶者の寿命が短い、といった相関関係は一切確認されていない。むしろ、同世代の人口が極端に少なかったことから「受験倍率が低かった」「就職活動で有利に働いた」など、副次的な恩恵を享受した世代でもあった。不合理な偏見を覆す実証データが蓄積された現在、干支を理由にした出産控えは完全に過去の遺物となりつつある。