禁断の恋愛を扱う漫画は数多いが、「僕たちいけないことしてる」が際立つ点をあえて挙げるなら、それは「後悔の描き方」かもしれない。多くの作品では、禁断の関係に踏み込む登場人物たちは比較的迷わず行動する。だがこの作品では、踏み出す前の逡巡、踏み出した後の自己嫌悪、それでもまた引き寄せられる矛盾——そのすべてが丁寧に描かれている。
読者が「この登場人物は本当に正しいことをしているのか」と問い続けながら読めるような構造になっている。それが道徳的な説教にはならず、あくまで人間観察として機能しているのは、作者の筆力によるものだ。
また、視覚的な表現という点でも注目に値する。表情の繊細な変化、沈黙のコマの使い方、視線の方向——漫画ならではの演出技法が感情描写と高いレベルで噛み合っている。言葉ではなく絵で語るシーンが随所にあり、そういった場面がとりわけ読者の記憶に残る。