主演を務めた柄本佑の演技は、鬼気迫るものがある。彼が演じるのは、当初は大学病院の延長線上で事務的に「作業」をこなしていた若手在宅医・河野智利だ。先輩医師との出会いや患者の最期との向き合い方を通じて、彼の目は次第に色を変えていく。
メガホンを取った高橋伴明監督のディレクションは徹底してリアリズムに拘った。ドキュメンタリーと見紛うほどの生々しい臨床シーンは、映画業界でも高く評価されている。柄本佑の表情の変化、迷い、そして覚悟——患者の手に触れるその指先の震えひとつに、在宅医療の現場で戦う実在の医師たちの痛みが宿っている。