一方で、視聴者の心を揺さぶったもう一つの極限ドラマが、天才脚本家・野島伸司の手による作品群だ。社会現象となった『101回目のプロポーズ』では、武田鉄矢演じる冴えない中年男と、浅野温子演じる傷心のチェリストによる究極の純愛が描かれた。
「僕は死にましぇん!」という伝説の叫びとともにトラックの前に飛び出す名シーンは、脚本の言葉に役者が命を吹き込んだ瞬間だった。野島伸司の鋭い人間観察眼とドラマチックな台詞回しは、視聴者に「愛とは何か」という根源的な問いを突きつけた。綺麗事だけではない人間のドロドロとした欲望や弱さを描き切る姿勢は、その後のドラマ業界に計り知れない影響を与えている。