カメラが回った瞬間、スタジオの空気の密度が変わる。現場の制作陣が口を揃えてそう証言するほど、彼の芝居には理屈を超えた鬼気迫るものがある。かつて幼少期に見せていた愛くるしい笑顔の奥底に秘められていた演技の「核」が、ここに来て一気に芽を吹いた格好だ。
年齢による身体的な変化や声調の移り変わりは、子役にとって最大の壁とされてきた。だが彼はそれを恐れるどころか、自らの表現のグラデーションとして貪欲に取り込んでいる。感情を大声で爆発させるのではない。静寂の中に潜む複雑な葛藤を、影のある眼差しひとつで表現してみせる。同年代の俳優の中で、これほどまでに奥行きのある芝居を打ち出せる存在は極めて稀だ。