花粉症に伴う頭痛は、炎症や陰圧が発生している解剖学的位置によって痛む場所が大きく異なります。患者自身が痛みのサインを正しく把握することが、誤った対処を防ぐ第一歩です。
まず圧倒的に多いのが「目の奥が痛い」「眉間のあたりが重苦しい」という訴えです。これは鼻の根元近くに位置する篩骨洞(しこつどう)や、頭蓋骨のさらに深部にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)に花粉由来の炎症が波及しているケースです。蝶形骨洞の近傍には視神経や三叉神経の第1枝(眼神経)が走行しているため、外見上は目のかゆみがなくても「眼球の奥をスプーンで抉られるような鈍痛」として自覚されます。下を向いたり頭を振ったりした際に痛みがズシンと増悪するのが典型的な兆候です。
一方、「後頭部から首筋にかけて重だるい」と感じるケースでは、アレルギー反応に起因する自律神経の乱れと筋緊張が関与しています。花粉に対抗するため交感神経が過剰に緊張すると、首や肩周囲の僧帽筋が持続的に収縮し、緊張型頭痛を誘発します。また、無意識のうちに浅い呼吸を繰り返すことによる血行障害も後頭部の締め付け感に拍車をかけます。
ここで極めて重要になるのが、花粉症と片頭痛の違いを正確に見極めることです。両者は治療アプローチが根本から異なるため、誤認して合わない薬を服用し続けると症状が悪化しかねません。