シリーズの礎を築いたのは、まぎれもなく藤田まことさん演じる中村主水でした。1972年の『必殺仕置人』で初登場して以来、同心としての昼行灯(ひるあんどん)ぶりと、闇に紛れて見せる奥山神影流の太刀筋のギャップは、日本中のお茶の間を虜にしました。
そして1979年にスタートした『必殺仕事人』において、シリーズを社会現象へと押し上げたのが三田村邦彦さん演じる「簪の秀」と、中条きよしさん演じる「三味線屋の勇次」のコンビです。従来の時代劇ファンにとどまらず、若い女性層を巻き込んで「必殺ブーム」を巻き起こしました。
三田村さんは当時無名の新人劇団員から大抜擢され、跳躍力を生かしたアクロバティックな殺し技で瞬く間にアイドル的人気を獲得しました。一方の中条さんは、艶やかな着流し姿で三味線の糸を宙に放ち、怪力で悪人の骨を折るというスタイリッシュな暗殺技を確立し、大人の色気を漂わせる仕事人像を作り上げました。
この黄金期を支えたヒロインたちの存在も忘れてはなりません。大女優・山田五十鈴さんが演じた「おりく」の重厚な貫禄、そして鮎川いずみさん演じる「加代」のしたたかで人間味あふれるキャラクターは、殺伐とした闇の世界に鮮やかな彩りを与え続けました。