すべての発端は、昭和の歌舞伎界を革命した三代目猿之助の「家庭放棄」にある。香川がまだ幼い頃、父は女優の藤間紫との愛に走り、家庭を捨てた。これにより、香川と歌舞伎界の縁は完全に切れたかに見えた。香川は東大を卒業後、実力派俳優としての地位を自力で築き上げる。
だが、血の抗いは恐ろしい。40代半ばにして香川は「市川中車」として歌舞伎界への参入を決意する。そこには、父との和解、そして自身の息子である市川團子に澤瀉屋の血を繋ぐという執念があった。この電撃参入の際、すでに澤瀉屋の若きカリスマとして君臨していた従兄弟の猿之助との「奇妙な同居」が始まった。この歪なバトンタッチ劇こそが、世間に「腹違いの確執」を想起させる決定打となったのだ。