公開当時、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された際には、北野監督の過去のバイオレンス作品(『ソナチネ』や『HANA-BI』など)との落差に戸惑う海外批評家も存在した。しかし時を経て、評価の軸は大きく旋回している。
特にパリやロンドン、ニューヨークの若年層映画ファンたちの間では、過度に洗練されたハリウッド的な劇的展開へのアンチテーゼとして本作が受容されている。「何かが劇的に解決するわけではない」「傷ついた子供時代が魔法のように癒やされるわけでもない」。ただ、通り過ぎる夏の日々の中で少しだけ心が軽くなる。そのリアルで淡々とした手触りが、情報過多に晒される現代人の琴線に触れているのだ。