中国をはじめとする海外マネーが北海道の不動産に殺到する背景には、単なる偶然ではなく複数の明確な動機が存在します。現地取材や不動産取引に詳しい専門家の見解を総合すると、決定打となっているのは主に次の4つの要因です。
第一に、国際基準から見た圧倒的な「割安感」と円安傾向の定着です。グローバルなリゾート地であるスイスのツェルマットやアメリカのアスペンと比較した場合、北海道のニセコや富良野は雪質が世界最高峰でありながら、平米単価は依然として割安と評価されています。富裕層にとっては「最高級の環境を格安で手に入れられる最後のフロンティア」と映っています。
第二に、中国国内における資産防衛とカントリーリスクの分散です。中国本土ではすべての土地が国有または集団所有であり、個人が取得できるのは一定期間の「土地使用権」に過ぎません。これに対し、日本は外国人であっても土地の完全な所有権を無期限で取得・登記できます。自国の政治・経済リスクから資産を逃避させ、安全な先進国で保全したいという富裕層の心理が、土地取得を強烈に後押ししています。
第三に、手厚いリゾート需要とインバウンドビジネスの収益性です。富良野や小樽、トマム周辺などでは、富裕層向けヴィラやプライベートコンドミニアムの建設が相次ぎ、宿泊料や転売益を狙った投資熱が冷めません。
第四に、日本の地方部が抱える「過疎化・後継者不足」という受入側の事情です。維持管理費や固定資産税の負担に苦しむ日本の山林所有者にとって、買い手のつかない土地を高値で買い取ってくれる外国資本は、現実的な売却先として機能してしまっている実態があります。