家庭で揚げる天ぷらが重く粘り気のある食感になってしまう最大の原因は、小麦粉に含まれるタンパク質が水と反応して生まれる「グルテン」だ。日本調理科学会などの研究でも明らかにされている通り、小麦粉に水を加えて練ったり、温度の高い水を使用したりするとグルテンの網目状構造が急激に発達する。この粘着性の高いネットワークが油のなかで水分蒸発を阻害し、熱を加えてもカラッと水分が抜けきらない「ベチャつき衣」を生み出してしまう。
さらに、揚げる過程で食材内部から染み出す蒸気が衣の内部に閉じ込められることも、食感を損なう要因だ。プロの天ぷらが驚くほど軽いのは、衣が余計な水分を急速に放出し、微細な空洞(気泡)を無数に形成した状態で均一に固まるからである。この現象を家庭で意図的に起こすことこそが、サクサクの衣を仕上げる第一歩となる。