この革新的な公共空間が生まれた背景には、切実な都市戦略があった。震災以前から進められていた多賀城駅北地区市街地再開発事業は、震災の打撃を経て「単なる復興ではなく、未来の街の核となるシンボルが必要だ」という強い意志のもとに舵を切られた。そこで白羽の矢が立ったのが、民間活力を大胆に取り入れる指定管理者制度の導入である。
パートナーとして選ばれたのは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)。創業者の増田宗昭が提唱し続けてきた「ライフスタイル提案型の場づくり」の思想が、東北の歴史都市・多賀城市と共鳴した瞬間だった。行政主導のハコモノ行政から脱却し、民間ならではのマーケティング力と空間デザインを公共施設に注入する試みは、地方都市の駅前再生における試金石となった。
結果として、かつて閑散としていた駅前には年間100万人を超える来館者が押し寄せるようになった。周辺には新たな飲食店や居住エリアが整備され、駅前エリアの地価や人の流れに明確なポジティブインパクトをもたらした。行政の公共性と民間の収益事業が高度に融合したケーススタディとして、現在も視察が絶えない。