バレンティン選手がこれほどまでに本塁打を量産できた背景には、圧倒的なフィジカルと緻密な技術的適応が存在します。
第1に、推定180km/hを超える規格外の打球速度と独特のスイング軌道です。バレンティン選手のスイングは、強靭なリストと体幹の回転力を生かしたアッパースイング気味のフォロースルーが特徴でした。多少芯を外されても打球をスタンド深くまで運ぶ推進力があり、球威のある直球にも決して力負けしませんでした。
第2に、本拠地・明治神宮野球場との相性と卓越した打撃アプローチです。両翼97.5m、中堅120mという神宮球場のサイズ感を熟知し、引っ張り専門にならず広角に長打を放つ技術を磨きました。特に外角の変化球を引きつけて逆方向スタンドへ放り込む技術を身につけたことで、相手バッテリーの配球の幅を著しく狭めることに成功しました。
第3に、日本野球の研究と配球へのアジャストです。来日当初はアウトコースの逃げる変化球に苦しむ場面も見られましたが、スコアラーのデータを熱心に読み込み、カウントごとに狙い球を絞るクレバーさを持ち合わせていたことが量産の決定打となりました。