育成年代や一般的なバレーボール談義において、長年根強く残っている誤解が存在します。その最たるものが「身長が低い選手はリベロかセッターをやらせておけばいい」というステレオタイプです。
この短絡的な配置は、選手の可能性を狭めるだけでなく、チーム戦術の破綻を招くリスクを孕んでいます。リベロに求められる本質は、身長の低さではなく「重心の低さとブレない体幹」、そして何より「空間認知能力とボールに対する恐怖心のなさ」です。背が低くてもステップワークが重い選手はリベロに向きませんし、逆に180cm台であっても驚異的な柔軟性と読みを持つ大型リベロが世界水準では続々と登場しています。
また、ミドルブロッカーに対する「背が高いだけで不器用な選手がやるポジション」という偏見も大きな誤りです。相手の高速なコンビネーションに対応するため、左右へ全速力でステップを踏みながら跳び続けるミドルブロッカーは、心拍数が最も上がりやすい過酷な役割です。トスが上がる前の0.1秒で相手セッターの指先からコースを察知する戦術眼がなければ、現代バレーのスピードについていくことは不可能です。