体育館で設営作業をしている際、「中央を正確に2.43mに合わせたら、サイドライン側のネットが少し高くなってしまった」「これは設営不良ではないか」と不安を口にする人がいます。しかし、これは施工不良ではなく、公式ルールで認められた必然的な構造仕様です。
JVA公認規格およびFIVB公式ルールブックには、ネットの測定に関して以下のように明記されています。
「ネットの高さは、競技コートの中央で測定する。両サイド(サイドライン直上)でのネットの高さは、規定の高さと等しく、かつ中央の規定の高さを超えてよいが、最大でも規定の高さより2cmを超えてはならない。また、両サイドの高さは左右対称でなければならない」
つまり、中央とサイドの許容誤差は「0〜+2cm」と定められています。ネットは幅9m(コート幅)以上の空間を自重のあるケーブルで横断するため、物理現象としてどうしても中央部がわずかに垂れ下がります。この重力によるたわみを無理に水平にしようとワイヤーを限界まで巻き上げると、支柱が内側に過度に湾曲し、支柱の破損や床金具(アンカーブロック)の破断という重大な事故につながる恐れがあります。
したがって、測定の鉄則は「コート中央(センター)を規定の高さぴったりに合わせ、サイドライン直上の高さを規定値〜規定値+2cm以内の範囲に収める」ことです。逆に「サイドを2.43mぴったりに合わせた結果、中央が2.41mに落ちていた」という状態は、規定違反(公式試合ではやり直し対象)となります。この力学的力点とルールの因果関係を理解しておくことが、公正な競技環境の担保に直結します。