浜松といえば誰もが「うなぎ」や「浜松餃子」を思い浮かべますが、冬季における新たな名物として2010年頃に誕生したのが浜名湖牡蠣カバ丼です。当時、舘山寺温泉の観光協会や地元飲食店主たちが「冬の浜名湖を訪れる観光客に、本当に美味しい地元の味を届けたい」と開発した地域ブランドどんぶりでした。
浜名湖は海水と淡水が混ざり合う汽水湖であり、植物プランクトンが極めて豊富なため、養殖される牡蠣はわずか1年〜1年半ほどで大粒かつ濃厚な実を結びます。しかし、明治時代から100年以上の養殖歴史を誇りながらも、全国的な知名度はうなぎの影に隠れがちでした。そこで着目されたのが、浜松が誇る伝統の「うなぎの蒲焼きのタレ」です。
プリプリに育った大粒の牡蠣をボイルして旨味を閉じ込め、うなぎの濃厚な秘伝タレで一気に香ばしく焼き上げる。さらにトッピングには、浜名湖特産の「浜名湖のり(青のり)」や地元産の玉ねぎ、清涼感のある「三ヶ日みかんの皮(陳皮)」を合わせるという厳格な公式ルールが定められました。この地域資源を巧みに掛け合わせた商品設計こそが、全国の丼コンテストでも上位入賞を果たす原動力となったのです。