私たちが日常的に口にしている固形板チョコレートの歴史は、19世紀の技術革新なしには語れない。元々飲むチョコレートが主流だった時代から、固形のミルクチョコレートへと大きく進化する契機となったのが、スイスの技術者アンリ・ネッスルによる粉乳(凝縮乳)の発明であった。彼の技術は、現代まで続く製菓業の基盤を築いた歴史的偉業といえる。
工業化された製菓業の進歩によって、板チョコレートは世界中で安価に手に入る庶民の娯楽となった。均一な品質と規格化された重量は、工業製品としての美徳であったが、現代の資源高騰期においては、その規格自体が絶えず再定義される時代を迎えている。