山田洋次監督の映画『武士の一分』における演技もまた、彼の役者としての底力を天下に示し、日本映画史に刻まれる名演となった。本格的な時代劇としての緊張感が漂う本作で、劇中の対立軸となる剣客役を演じきった眼光と静かなる迫力は、映画館を訪れた観客を息をのませるほどの凄みに満ちていた。
長年培ってきた踊りの名手としての体幹と、時代劇の所作を知り尽くした動きの美しさが、スクリーン上で圧倒的なリアリティとなって結実した。映画界からも高い評価を受けたこの一作は、伝統芸能の枠組みを超えて、彼が優れた俳優としていかに卓越していたかを物語っている。