かつての寺川を知る長老たちは口を揃えて語る。「昭和の終わり頃、川底は見えず、魚の影すら途絶えていた」。周辺地域の急激な宅地化に伴い、生活雑排水が流れ込んだ結果だった。
風向きが変わったのは2010年代半ばのことだ。自治体と流域住民がタッグを組み、官民一体の自然浄化事業が本格始動した。水生植物を利用したバイオフィルターの設置や、家庭用浄化槽の普及が進み、2026年現在の水質は過去40年で最高の数値(BOD値1.0mg/L未満)を記録している。川面に鮎の跳ねる姿が戻ったニュースは、地元紙の一面を鮮やかに飾った。