back numberの全楽曲の作詞・作曲を手掛ける清水依与吏は、これまで数々の音楽誌や特番のインタビューにおいて、自らの失恋体験や劣等感がバンドの原動力であることを率直に語ってきました。バンド名である「back number(型落ち、過去の存在)」自体が、元恋人にとって自分はすでに不要な存在になってしまったという自虐と悔恨から命名されたことはファンの間でも広く知られています。
『花束』が制作された2011年当時、バンドはインディーズからメジャーへと進出し、勝負をかける重圧の中にありました。従来のJ-POPにおける「強くて優しい男性像」に対する違和感を抱えていた清水は、かっこつけようとしても空回りしてしまう自分自身の不器用さ、かっこ悪い本音をそのままメロディに乗せる道を選びました。
当時の制作背景を振り返る関係者の証言によると、タイトルの「花束」には、高価なプレゼントや煌びやかな言葉ではなく、日々のささやかな感情や反省、願いを一本ずつ束ねて相手に手渡すという意味合いが込められています。格好をつけず、ふりがなを振るような素直さで紡がれた言葉の数々は、清水依与吏というソングライターの誠実さが生み出した奇跡的な結晶といえます。