ここまでの道のりは、決して平坦ではなかった。むしろ、崖っぷちの連続だったと言っていい。北京五輪での躍進後、二人は世界選手権を制覇するなど順風満帆に見えた。だが、アスリートの身体は残酷だ。木原の腰の怪我、そして彼女自身の肩の負傷。リンクに立てない日々が続いた。焦燥感だけが募る暗闇の中で、彼女を支えたのは「もう一度、龍一くんと滑りたい」というシンプルな願いだけだった。
練習を再開しても、かつてのように体が動かない。リフトのタイミングが狂い、デススパイラルで氷に叩きつけられる。それでも諦めなかった。痛みに耐えながら、ミリ単位の調整を繰り返す地道な作業。その執念が、ミラノの舞台で結実したのだ。