朝食をスムージーだけに置き換え、夕食の炭水化物を一切口にしないような過酷な減量を行っているにもかかわらず、全くサイズダウンしない——。この現象の背景には、食事制限で痩せない決定的な原因として医学界で指摘される「適応熱産生(省エネモード)」と「筋異化(サルコペニア)」が潜んでいます。
40代以降、何もしなければ骨格筋量は年間およそ0.5%〜1.0%ずつ減少していきます。この状況下で極端なカロリーカットを断行すると、脳は飢餓危機を察知し、基礎代謝を強制的に引き下げて生命を維持しようとします。その結果、脂肪よりも先に筋肉が分解され、カロリーを消費できない「極めて太りやすく痩せにくい体」が完成してしまうのです。
さらに深刻なのが、女性ホルモン減少と体重増加の経緯です。閉経前後の約10年間に訪れる更年期では、内臓脂肪の蓄積を抑え血管のしなやかさを保っていたエストロゲンが激減します。国立健康・栄養研究所等の研究データでも示されている通り、女性ホルモンの分泌低下は脂質代謝を急激に悪化させ、皮下脂肪型から男性に多い内臓脂肪型へと体質を激変させます。これこそが、いわゆる更年期太りの真相と解消法を語る上で避けて通れない生物学的変化の正体です。以前の成功体験にすがりついた「食べない我慢」は、ホルモンバランスの崩壊と自律神経の乱れを助長し、中年太りを加速させる引き金にしかなりません。