『ひるなかの流星』を巡る最大の関心事は、主人公・与謝野すずめが激動の恋路の果てに誰を手を取ったのかという点に尽きます。物語の結末において、すずめが自らの意思で人生のパートナーとして選んだのは、担任の獅子尾先生ではなく、同級生の馬村大輝でした。
この結論に至るまでの過程は、少女漫画史に残るほど緻密かつ切痛な心理描写の連続でした。物語中盤、すずめは担任教師である獅子尾五月に本気の想いをぶつけますが、立場や責任に縛られた獅子尾は一度その告白を拒絶せざるを得ませんでした。傷心のすずめを常に隣で見守り、女子嫌いという生来のコンプレックスを乗り越えて「俺にしておけばいいのに」と手を差し伸べ続けたのが馬村でした。
クライマックスとなる最終巻(単行本12巻から13巻)では、自らの本当の気持ちに気づいた獅子尾が、大人としての体裁をかなぐり捨ててすずめの元へ駆けつけ、「すずめが好きだ」と魂の叫びともいえる告白を果たします。しかし、病院の屋上で向かい合ったすずめの心は、すでに過去の憧れではなく、現在の自分を支え続けてくれた馬村へと向いていました。
すずめは獅子尾に対し、「先生は私にとって、昼間に現れた流れ星だった」と涙ながらに感謝と別れを告げます。一瞬のきらめきで自分を照らしてくれた獅子尾という「流れ星」への想いを美しく昇華させ、いつも変わらずそばで自分を温め続けてくれる「太陽」のような馬村の胸へと飛び込んだのです。この自立した選択こそが、読者に深い感動と納得感をもたらしました。