最終話のラストコマにおいて、矢吹丈は満足げな笑みを浮かべながら動かなくなります。この描写から、長年にわたり「矢吹丈 死亡説」が広く信じられてきました。激闘による肉体の損耗、パンチドランカー症状の進行、そしてすべての気力を使い果たした直後の静寂が、読者に「息を引き取った瞬間」を強く連想させたためです。
しかし、作品内で丈が医学的に息絶えたと断定する描写やアナウンスは一切描かれていません。作中における「真っ白に燃え尽きた」という状態は、物理的な死そのものというよりも、己の生命エネルギーと情熱のすべてをリングに捧げ尽くした「究極の充足感」を表しています。
読者の間では、過酷なボクサー人生に訪れた安らかな死と捉える「死亡説」と、極限の疲労から深い眠りに落ちているだけとする「生存説」の双方が激しく議論されてきました。この曖昧さこそが、作品を単なるスポーツ漫画にとどまらない人生の叙事詩へと押し上げた要因です。