ケアリッツ・アンド・パートナーズやフランスベッド在宅介護・医療チームのレポートがまとめた臨床観察によると、認知症を患いやすい人には「精神面・体調面・性格面・生活面」という4つの軸で顕著な行動傾向が浮き彫りになっています。
海外の大規模コホート研究に目を向けると、スウェーデンのイエーテボリ大学が約800人の女性を38年間にわたって追跡した調査において、「心配性で神経質、物事を後ろ向きに捉えやすい人」は、情緒が安定している人に比べて認知症発症リスクが最大で約2倍に跳ね上がることが実証されています。過剰なストレス反応によってコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンが長期にわたり過剰分泌され、記憶を司る海馬を萎縮させることが生理学的な主因と目されています。
介護現場の手記やSNS、家族の相談記録を検証すると、発症初期の家庭内では次のようなリアルな生の声が寄せられています。
「昔は温厚で優しかった父が、スーパーのレジで店員に『お釣りの渡し方がおかしい!』と怒鳴り散らすようになった。最初は頑固親父になっただけかと思っていたが、実は自分の金銭計算が追いつかなくなった恐怖と混乱の裏返しだった」(50代・長男の手記より)
「母の口癖が『私なんてどうせ何もできないから』に変わり、あれほど好きだったパッチワークを一切触らなくなった。話しかけても相槌が『ふーん』『別に』と単調になり、家族との会話が噛み合わなくなっていった」(40代・長女の介護ブログより)
このように、「怒りっぽくなる前兆」や「頑固さの先鋭化」は、認知機能の低下を自覚した本人が、自尊心を守るために無意識に張り巡らせる防衛機制であることが現場のプロたちの一致した見解です。